矯正歯科治療のすべて：美しい歯並びを手に入れるための完全ガイド

矯正歯科治療はなぜ必要？

1. 歯並びと咬み合わせ

矯正歯科治療は、見た目の美しさだけでなく、機能的な側面でも重要です。咬み合わせが正しくないと、食事中に必要な力を発揮できず、将来的な歯の健康にも影響を及ぼします。例えば、歯が正しく咬み合わないと、特定の歯に過剰な負担がかかり、歯の摩耗や痛みを引き起こす可能性があります。

2. 8020運動と咬み合わせ

「8020運動」は、80歳で20本以上の歯を残すことを目指す運動です。健康で豊かな生活を送るためには、正しい咬み合わせが不可欠です。咬み合わせが良好であれば、食べ物をしっかりと咀嚼でき、全身の健康にも寄与します。研究によると、8020運動を達成している人は、社会的な活動が活発で、心身ともに健康である傾向があります。

3. 矯正歯科治療のメリットとリスク

メリット

• 歯科疾患の予防: 不正咬合を改善することで、虫歯や歯周病のリスクを減少させます。
• 顎の成長発育障害の予防: 矯正治療により、顎の成長を正常に促進します。
• 口唇閉鎖不全の改善: 口を閉じる機能が改善され、口呼吸を防ぐことができます。
• 発音の改善: 歯並びが整うことで、発音がクリアになります。

リスク

• う蝕や歯肉炎のリスク: 矯正装置の装着により、歯磨きが難しくなり、虫歯や歯肉炎のリスクが高まります。
• 治療期間の延長: 顎の成長予測が難しいため、治療が長引く場合があります。
• 歯根吸収の発現: 適正な矯正力による歯根吸収は修復可能ですが、注意が必要です。

歯が動くって本当？～歯が動くメカニズム

1 歯の移動のメカニズム

歯は、歯根膜という組織を介して歯槽骨の中で移動します。矯正装置で適度な力を加えることで、歯根膜が圧迫され、骨を吸収する細胞が現れ、歯が動き出します。このプロセスは、骨の再生と吸収のバランスによって成り立っています。

2 矯正治療の限界

矯正治療には限界があります。例えば、骨格的な不正に対する歯の移動の限界や、過去の抜歯や先天的欠如による歯の隙間の問題などがあります。これらの要因により、理想的な咬合関係を獲得することが難しい場合もあります。

不正咬合の種類と治療法

1 上顎前突（出っ歯）の治療法

上顎前突の治療には、成長期のお子さんに対して上顎骨の過剰発育を抑えるための矯正装置を使用します。具体的には、成長の早い時期に適切な装置を用いて、上下の奥歯を動かし、正しい咬み合わせを獲得します。

2 下顎前突（反対咬合・受け口）の治療法

下顎前突の場合、上下の前歯を動かし、正しい咬み合わせを形成します。必要に応じて、成長期において顎の成長を管理し、最終的な咬み合わせを獲得します。

3 叢生（八重歯など）の治療法

叢生の治療には、永久歯がすべて揃った段階で、すべての永久歯に器具をつけて最終的な咬み合わせを獲得します。歯が動いていく隙間を作るために、抜歯をすることもあります。

4 開咬の治療法

開咬は、指しゃぶりや舌のくせが原因で起こることが多いです。適切な矯正装置を使用し、舌やお口の周りの筋肉のトレーニングを行うことで改善します。

5 過蓋咬合の治療法

過蓋咬合の治療では、成長期において上下の顎の成長を管理し、必要に応じて抜歯を行うことがあります。治療後は、すべての永久歯に器具をつけて最終的な咬み合わせを獲得します。

治療のすすめ方

1 検査・診断の重要性

矯正歯科治療を行うためには、臨床検査として口腔内検査や顎機能の検査が必要です。特に子どもでは、顎顔面の成長バランスを評価するために、セファログラム（頭部X線規格写真）の撮影が不可欠です。

2 治療開始時期

子どもの矯正歯科治療は、全ての永久歯がしっかり並んでから行うことが望ましいです。早期に治療を開始しないと、成長に伴い問題が再発することもあります。

矯正歯科治療を受けるには

1 良質な矯正歯科治療とは

良質な矯正歯科治療は、機能と審美性の両方をバランスよく向上させることが求められます。治療前には、治療方針や予想治療期間、治療費について十分な説明が必要です。

2 矯正歯科治療の専門性について

矯正歯科治療は専門的な教育と研修が必要です。日本矯正歯科学会に所属する認定医が、適切な治療を行うことが求められます。

抜歯・非抜歯について

1 なぜ抜歯しなくてはならないか

歯並びが悪い原因には、歯の大きさと歯槽骨の大きさのアンバランスがあります。特に下顎の犬歯を広げて並べることは避けるべきです。

2 抜歯・非抜歯は治療の手段の1つ

抜歯は治療の手段の一つであり、治療の目標に基づいて判断されます。目標が決まった上で、どのように歯を移動させるかを考えます。

保険で治療可能な矯正歯科治療について

矯正歯科治療は一般的には保険適用外ですが、特定の疾患に起因する咬合異常の場合には保険診療の対象となります。具体的には、顎変形症の術前・術後の矯正治療がこれに該当します。

まとめ

矯正歯科治療は、見た目だけでなく、機能的な健康を維持するためにも重要です。治療を考える際は、信頼できる専門医と相談し、自分に合った治療法を選ぶことが大切です。正しい咬み合わせを手に入れることで、より健康的で充実した生活を送ることができます。