はじめに
多くの人が「歯列矯正は子どものうちに行うもの」と考えていますが、実は大人になってからでも効果的に歯列矯正を行うことができます。本記事では、大人の歯列矯正の種類、費用、メリット・デメリット、そして始めるべきタイミングについて詳しく解説します。
大人になってからの歯列矯正の重要性
大人になってからの歯列矯正は、見た目の改善だけでなく、健康面でも重要な役割を果たします。悪い歯並びは、虫歯や歯周病のリスクを高め、長期的には歯を失う原因となることもあります。正しい咬み合わせを得ることで、食事や会話が快適になり、自信を持って日常生活を送ることができるようになります。
始める時期・タイミング
大人になってから歯列矯正を始める場合、いつスタートすれば最も効果的なのかというベストなタイミングを知りたいですよね。
結論からいうと、成人の歯列矯正はいつでもはじめることができます。小児矯正の場合は、歯の生え変わり時期や成長過程に合わせて最適なタイミングがありますが、歯の成長が完了している成人の歯列矯正にはそのようなことはありません。
ただ、早くはじめればその分早く歯並びが改善され、正常で健康な噛み合わせが手に入りることは確かです。
大人の歯列矯正は、「いつはじめるか」ではなく「いつまでに完了したいか」という部分を意識し、計画的に歯列矯正を行うと良いでしょう。
私の歯はどっち? 矯正したほうがいい場合、矯正が必要ない場合
本人が気にならなければ歯列矯正の必要はありません。
しかし、日常生活に支障が出ていたり著しく歯並びが悪い場合には、歯科医院に相談してみるのも良いかもしれません。
一般的に歯列矯正をしたほう良い場合とそうでない場合を判断するための基準をご紹介します。
上下の噛み合わせ
まずは上下の歯を噛み合わせたときの状態を見てみましょう。
正しい歯並びは、上の歯が下の歯よりも2ミリ程度前に出てかぶさっている状態です。
上下の歯がきちんと合わさっていなかったり、上下の歯の隙間が著しく開いていたりした状態は、歯列矯正が必要だと言えます。
歯の向き
しかし、大きく外向きに生えていたり、反対に内向きに生えていたり、左右の歯がぶつかり合うように生えていたりする場合には、歯列矯正で正しい向きに生えるよう治療を行います。
歯が正しい方向に生えていないと、歯ブラシが届きにくく汚れが残って虫歯や歯周病になったり、ほかの歯が押されて健康な歯まで乱れてくる場合もあるからです。
歯列矯正の種類
2.1 マルチブラケット矯正
マルチブラケット矯正は、最も一般的な矯正方法です。金属製のブラケットを歯に取り付け、ワイヤーを使って歯を動かします。以下の特徴があります。
- メリット: 効果が高く、複雑な歯並びにも対応可能。
- デメリット: 見た目が目立ち、装着中の不快感がある。
2.2 透明マウスピース矯正
透明マウスピース矯正は、透明なマウスピースを使用して歯を動かす方法です。目立たず、取り外しも簡単です。
- メリット: 見た目が気にならない、食事や歯磨きがしやすい。
- デメリット: 効果がマルチブラケットに比べて弱い場合がある。
2.3 舌側矯正
舌側矯正は、ブラケットを歯の裏側に取り付ける方法です。外からは見えないため、目立ちません。
- メリット: 外見に配慮できる。
- デメリット: 装置が舌に触れるため、違和感が強いことがあります。
治療期間と費用
治療期間や費用は、選択する矯正方法によって異なります。一般的な目安は以下の通りです。
- マルチブラケット矯正: 治療期間は約1年〜3年、費用は60万円〜100万円。
- 透明マウスピース矯正: 治療期間は約1年〜2年、費用は40万円〜80万円。
- 舌側矯正: 治療期間は約1年〜3年、費用は80万円〜120万円。
初回カウンセリングや精密検査の費用は別途必要ですので、事前に確認することが重要です。
大人の歯列矯正のメリットとデメリット
メリット
大人になってからの歯列矯正はメリットいっぱい!
大人になってからの歯列矯正は、けして遅くはありません。
治療中は治療器具の違和感や見た目が気になるなど、これまでの生活とは少し違って戸惑うこともあるかと思います。
しかし、矯正治療中のほんの数年を乗り切れば、見た目のコンプレックスを気にすることもなくなり、この先の長い人生でいいことがたくさん待っています。
歯列矯正を検討している方、歯並びが気になっている方は、一度矯正専門の歯科医院で相談してみましょう。
- 見た目の改善: 笑顔に自信が持てるようになります。
- 口腔健康の維持: 正しい咬み合わせにより、虫歯や歯周病のリスクが減少します。
- 治療スケジュールの予測: 大人は成長が完了しているため、治療の進行が予測しやすいです。
デメリット 大人の矯正「やめた方がいい」理由
大人の矯正がだめと言われるのは、それで失敗した方がおられるからだと考えられます。どんな治療にもベネフィット(得るもの)があればリスク(危険)があります。
大人の矯正にもリスクはあります。これらのリスクを取ってまで、長い期間痛い装置を付けて治療をする必要はないというのが「大人の矯正はやめたほうがいい」と言われる根源ではないでしょうか。
- 治療中の見た目: 矯正器具が目立つことがあります。
- 痛みや違和感: 矯正器具による痛みや違和感が生じることがあります。
- 虫歯リスクの増加: 矯正器具の隙間に食べ物が詰まりやすく、虫歯になりやすいです。
大人の矯正のリスク
- 抜歯 健康な永久歯を抜くことに対する抵抗感
- 顎関節症 顎関節症の方は(症状が治まるまで)矯正治療ができない
- 咬み合わせが悪くなる 治療のゴールを定めずに行う治療はかえって咬み合わせを悪くする
- 矯正の痛み 矯正治療は少なからず痛みを伴い、人によっては耐え難い場合もある
- 治療後の後戻り 矯正治療後は元に戻ろうとする歯を止めるため保定が必要です
そもそも矯正治療は必要なの?
歯列矯正をしないとどうなる?
歯列矯正は、実は見た目だけの改善ではありません。そもそもは不正咬合という良くない咬み合わせを改善することが目的で、その結果見た目もキレイになるというのが歯列矯正です。
不正咬合というのは、読んで字のごとく正しくない咬み合わせです。不正咬合には代表的なもので叢生・上顎前突・下顎前突・上下顎前突・開咬・交叉咬合・過蓋咬合などいくつもあります。
これらの不正咬合は、多かれ少なかれ歯や身体の健康を損なう原因となることがあります。
例えば歯を失う原因となったり、風邪などの感染症にかかりやすくなったり、糖尿病や心臓病などの全身疾患と関わりがある歯周病になりやすくなったり、脳の発達影響するとも言われています。
歯並びが悪いと入れ歯・歯抜けになる
咬み合わせというのは、歯を機能的・長期的に使う上でとても重要です。正しい咬み合わせで正しくメインテナンスを行っていれば、歳をとっても自分の歯で長く食事を摂ることができますが、悪い咬み合わせやメインテナンスを怠れば、将来的に歯を失ったり、歳をとってから入れ歯での生活を余儀なくされてしまうこともあります。
実際にある調査結果では、8020(80歳で20本の歯を保とうという運動)の達成者の中には、反対咬合や開咬の不正咬合の方はいなかったという結果もあります(※1)。反対咬合や開咬は、特に歯を失う原因となりやすい不正咬合ですが、他の不正咬合も同じく歯を失うリスクは正常咬合に比べ高くなります。
不正咬合を治療するということは、将来自分の歯で長く食事を摂るために大切な治療と言えます。
やったほうが良い歯列矯正
歯科医院が歯列矯正をお薦めする場合、その最大の理由は「不正咬合の治療」です。
不正咬合とは、歯並びや噛み合わせの状態が良くない状態で、それによって日常生活に支障が出る場合がある「問題のある咬み合わせ」と言えます。
不正咬合を治療し、正常な咬み合わせにすることで、咀嚼不良による内臓への影響、口呼吸による発育や感染症リスクの低減にも繋がります。
また、見た目がキレイになることでコンプレックスを解消するだけでなく、歯並びが良くなることで、歯磨きも効率的に綺麗にすることができ、虫歯・歯周病予防に効果的です。
つまり、一般的な歯科医師がすすめる不正咬合の歯列矯正は、よりよい生活・人生のためにした方が良い「治療」である場合が多いと言えます。
※1)8020達成者の咬合分類 上下顎前歯の前後関係は正常84.6%,上顎前突15.4%,反対咬合0%であった。垂直的関係は正常86.5%,過蓋咬合13.5%,開咬0%であった。
歯列矯正の失敗事例
咬み合わせが悪くなった
見た目を重視し、咬み合わせを無視した矯正治療治療を行ったことで、顎関節にトラブルが起きたり、咬み合わせが崩壊した。
矯正前よりブサイクになった
歯の矯正をすることで、顔が面長になったり、皮膚のたるみ・ほうれい線が目立つなど、顔の印象が良くない方に変わった。
虫歯がいっぱいできた
歯列矯正中のセルフケアや定期的なクリーニングを怠ったために、虫歯が進行し、神経を取る処置や抜歯が必要となった。
成人矯正をやめた方がいい人
- 毎食後歯磨きができない方
- 虫歯・歯周病がかなり進行している方
- 極端に痛みが苦手な方
- 近々引っ越しの予定がある方
- 定期的に歯科医院に通えない方
- 咬み合わせより見た目を優先する方
もちろん、上記に当てはまる方でも「これからは歯磨きを頑張る」「虫歯を治してから矯正する」など、生活習慣の改善や環境の変化が考えられる場合は矯正治療は可能です。歯列矯正をするかどうかは、歯科医師としっかり相談して決めましょう。
歯列矯正を始めるタイミング
大人の歯列矯正は「いつ始めるか」ではなく「いつまでに完了したいか」が重要です。早く始めることで早く改善されますが、いつでも始められるのが大人の矯正の特徴です。特に、結婚や就職などのイベントに合わせて治療を計画することも可能です。
おすすめの商品
以下の製品は、歯科矯正に関連する商品です。
1. マウスピース矯正
- 商品名: HANARAVI
- 特徴: 経験豊富な矯正専門医によるマウスピース矯正。透明で目立たず、安心して使用できます。
2. ホワイトニング
- 商品名: ホワイトマイスター
- 特徴: ホワイトニング専門の歯科。一回で白い歯を実感できる、アメリカ発の最新のホワイトニングを提供します。
3. 歯磨き粉
- 商品名: ホワイトニング歯磨き粉『しろえ』
- 特徴: 歯の健康を保ちながら、白さを保つことができる歯磨き粉です。
まとめと今後の展望
大人になってからの歯列矯正は、決して遅くありません。治療中の不便さや見た目の問題を乗り越えれば、長い人生で得られるメリットは大きいです。歯並びが気になる方は、ぜひ一度矯正専門の歯科医院で相談してみてください。
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